へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜



 突然の行動に驚いた二人に気づかないまま、ミアは気持ちを入れ替えて強く頷いた。



「団長!是非、あの子達を現地へ連れ出してやって下さい!それと私からもお願いがあります」



 リヒトに負けない真剣な眼差しでミアは、彼を見つめた。



「その現地に私も連れて行って下さい!」


「却下だ。戦術も何も持ち合わせていないお前に、魔物がいる現地へなど連れて行けるか」


「先程あの子達の晴れ舞台と言ったじゃないですか。私が見てあげないで、誰が見るんですか」


「あのなあ……」



 呆れた声にも揺るがずに、ミアは強気でリヒトを見つめ続けた。ここは世話係として決して譲れないのだ。

 ミアは仕方ないと、一つ息を零してから意を決してその言葉をはっきりと発した。



「いいですか、団長。これは《命令》です。私を現地に連れて行ってください」


「――御心のままに」



 頬杖をしていたリヒトはいつの間にか、立ち上がり胸の前に手を添えて頭を下げていた。その姿を見て、少々強引にやり過ぎたかと顔を渋らせる。







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