貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
いっくんの活躍と勝利を見届けてから私達は会場を後にした。そこから車で移動し、今はお昼を回ったところだ。

「すみません。私の趣味に付き合わせてしまって」

芝生の上に昨日買ってきたばかりのピクニックシートを広げながら私は言う。シートの反対側を持って下ろしながら、「いや。こっちこそ悪いな」と主任は私に返した。

ここは、いっくんの学校から少し走ったところにある植物園だ。

主任に試合の時間が午前中だと伝えると、『そのあとはどこへ行く?』と尋ねられていた。これは……行く前提か、と悩んだ末、私は浮かんだ場所を提案してみたのだ。
興味ないかと思ったけど、意外にあっさり『わかった』となり、今に至るわけで……。

「座って下さい。今お茶いれますね」

そう促して、私もスニーカーを脱いでシートに乗った。私が先に座ってバッグから水筒を出し、家から持ってきた冷たいお茶をコップに注いでいると、主任はゆっくりと私の向かいに座った。

「はい、どうぞ」

私がコップを差し出すと、主任はそれを受け取り口に運んでいた。

「その……あまり期待はしないで下さいね」

私は主任を見上げそう言いながら持って来たタッパーを目の前に差し出した。
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