貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
「それではここで、皆様に紹介させていただきます」

拍手が落ち着いたころ、社長は声のトーンを上げそう言う。そして、それに合わせて向こう側の袖から登場したのは……。

「私の姪、枚田澪。旭河広報部長でもあり、朝木家長男、一矢」

ドレスに着替えた澪さんと、久しぶりに姿を見た、いっちゃん。2人とも、さすがというか、堂々としている。

「川村家長男、創一。そして、朝木家長女、与織子」

社長が今度はこちらを向き、そう声を上げる。

「さぁ、行こう」

私を見て創ちゃんは小さくそう言うと、2人でステージの明るいほうへ歩き出した。
緊張で足がもつれそうになりながら、私は創ちゃんのあとに続いた。前を向くと、人人人で、気が遠くなりそうだ。

「私は息子に、朝木家との架け橋となることを願い、創業者から一文字ずつ名前をもらい、創一と名付けました。長年の願いだった交流は、私の代で種を蒔き、そして、次の代で実を結ぼうとしています」

そうなんだ、なんて思いながら、私は創ちゃんの顔を見上げる。けれど、そう驚くことじゃないんだけど……と、私はまた社長の話に耳を傾けた。

「しかしながら、私はその成長を見守ることしか、して参りませんでした。自然の中で逞しく育って欲しい。それは自然を愛する朝木家の願いでもあったからです」

植物に例えられているこの話。もしかしたら、次に話す内容に繋がっているのかも知れないと私は思う。

「ですが、私の心配をよそに、見事な花を咲かせてくれようとしています」
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