貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
逃げだしたくなりながら顔を上げると、皆の視線が一斉に突き刺さって来た。社員はほぼ男の人で、人生においてこんなに男の人に見られるのは初めてだ。

「朝木さんは川村主任の下で事務を担当してもらいます。皆さん、新人さんを困らせないよう、提出書類のチェックお願いしますね」

40代半ばくらいだろう鈴木課長がそう言って柔和な笑顔を見せた。

「じゃ、川村君。あとよろしく」

課長は私をさっさと主任に丸投げし、一人独立した自分の席に戻る。それを合図に他の社員さん達も席に座ったり、席から離れて行ったりしていた。

「朝木さんの席はここです」

向かい合わせに並んだ机の列の一番端にいる主任は、予想できたけど自分の隣を指差してそう言った。
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