もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです
「湿った匂いがするんです。数刻もしないうちに降ると思います」

 グランツが不思議そうに尋ねた通り、空は気持ちよく晴れている。

 雲はぽつぽつと見えるが、こんな青空なのに雨が降るとは信じがたい。

 しかしグランツはシエルの言葉を否定せず、外に繋いだ愛馬を振り返った。

「貴女がそう言うのならそうなのだろう。今のうちにミディイルを、雨の当たらない場所まで移動させねば。貴女も中に取り込むものがあるだろう。ミディイルを移したらすぐに手伝おう」

「ありがとうございます」

 シエルは洗濯物や、乾燥させた肉を急いで家の中へ運んだ。イルシャが先日狩った鹿を、グランツの手を借りて加工したものだ。

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