記憶喪失のお姫様は冒険者になりました
そんな3人が得意とする分野をシュティーナはどんどん開花させていった。
シュティーナはすごかった。
勉学も剣術も魔法も…。
なんでも完璧にこなしてしまう。
俺はそんなシュティーナが妬ましかった。
だかれ俺は両親と同様、シュティーナを一度も褒めなかった。
心の中ではたくさん褒めて、認めていた。
だけどそれを口に出すことはしなかった。
いや、できなかった。
言ってしまったらシュティーナが王位継承者になりそうで怖かったから。
だからシュティーナが何を考えて何のために頑張っていたのかわからなかった。

俺は魔法が火属性と風属性しか使えない。
それに比べてシュティーナは全属性魔法を使える。
火、水、氷、風、雷、光、闇属性…そしてごく稀に無属性を持つ人間がいる。
本当にごくごく稀だ。
そんな稀なものをシュティーナは手にしていた。
もう耐えられなかった。
だからあの日…俺はシュティーナを助けなかった。
「お母様!お兄様!私はやっておりません!信じてくださいっ!」
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