記憶喪失のお姫様は冒険者になりました
「い、行きたい!」
「はい!行きましょ!」
ミホナと離れていた時間が余程寂しかったのか。
ミホナが戻ってきてからは片時も離れようとはしなかった。
余程、ミホナのことが大好きなんだね。
私は温かい眼差しで彼らを見つめた。
「クロックス、ちょっと来てくれー!」
少し離れたところからクロックスを呼ぶ冒険者。
クロックスはミホナを見ていた。
ミホナは笑っていう。
「行ってきてください、クロさん!」
「でも……」
ほんと少しでも離れたくないクロックスは行くのを躊躇う。
「私はちゃんと人を大切にするクロさんに惹かれたのに…」
そう言ってミホナはしゅんとした。
クロックスはそれを見てすぐに動き出した。
「なんだよー」
ミホナ、やるねー!
尻に敷かれそうだね、クロックス。
私はクロックスを見守っているミホナに声をかけた。
「ミホナ」
「はい?」
ミホナはこの宿でも人気者だ。
例え、クロックスと付き合っていたとしても。
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