記憶喪失のお姫様は冒険者になりました
そう言っていたからも…もちろんある。
だけどそれだけじゃない。
「私には昔の記憶が何もありませんでした。今でも思い出せません。そんな私にある人は私にたくさんのものをくれました。彼が私を救ってくれなければこの命はもうなかったでしょう。私は…今、生きていてよかったと…そう思って思っています!だから無駄に命を奪いたくはないのです」
これは私のわがままだ。
ドラゴンはどうするか私にはわからない。
引くか引かないかは…ドラゴンが決めること。
《…名はなんという》
「…ミホと言います」
私は少し間を開けてから答えた。
ミホという名はクロさんがつけてくれたものだから。
本当の名ではないけど…私はこの名前が好きだ。
《ミホ…そなたには感謝する。また会える日を楽しみにしておる》
それって…。
《住処へ帰る。ミホに免じてな…》
私の気の所為かもしれないけど…。
ドラゴンは笑ってくれた気がする。
「ありがとう、ございます!私も会える日を待っています」
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