ブルー・ロマン・アイロニー


アンドロイドを持っていないだけじゃない。

わたしはいつだって垢抜けなくて、誰かに強くものを言うことができなくて、頼まれ事をしたら断れなくて、どんなに面倒な内容でもへらへらしながら請け負ってしまう。

そんな性格をしたわたしが雑に扱われるのはもはや当然の成り行きだった。


もちろんわたしにだってそれなりの感情はある。当たり前だ、人間なんだから。

邪険にされたら傷つくし、あまりにも雑に扱われたときには泣いてしまった日も少なからずあった。

だけど今さら、もうそれぞれの居場所ができあがっているこの水槽のなかで、自らこの居場所を捨てることはできなかった。


だって、わたしには、ここしかないのだ。

どんなに居心地が悪くても、必要とされていなくても。

わたしの居場所はもう、ここしか残っていなかったから。


いくら酸素がうすくても、それによって息がしにくくなっても、かまわない。

どんな仕打ちを受けたってわたしはここで息をする。


いままでも、これからも。


< 19 / 239 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop