ブルー・ロマン・アイロニー
とつぜん、教室の扉がひらかれた。
そこに立っていたのは担任の先生で、やましいものを隠すように数人の生徒が挙動不審になる。
だけど先生は急いでいるようで、とくに見咎めることはなかった。
「今日の日直は誰かしら?」
誰だろう。
黒板を確認すると、今日の日付の下には“藤白”の文字。
これがツイてないかと思いつつ、ひかえめに手をあげる。
「はい、わたしです」
「藤白さんね。今日の放課後、少し時間ある?」
「えっと、まあ……はい」
さっきナナちゃんと瑠衣ちゃんが放課後の予定について話していた。
駅前にできたドーナツ屋のクーポンがどうとか。
その予定にわたしは含まれていないんだろう。
確認するまでもなかった。
「そう、よかった。ちょっと雑用を頼みたいから、放課後職員室に来てくれないかしら?量が多いから友だちに手伝ってもらってね」
先生。その手伝ってくれる友だちはわたしにはいないんです。
だけどそんなこと言えるはずもなく。
かといってナナちゃんたちに「手伝って」と頼めることもなく、お昼やすみは終わりを告げた。