ブルー・ロマン・アイロニー
そうして高架橋の近くまで来たときだろうか。
黒猫がいきなり草むらの中に飛びこむから、わたしはぎょっとしてしまった。
「うそでしょ。ここに入るの?」
まるで手入れされていない伸び放題の草むら。
そこに足を踏みいれるのはさすがに勇気がいった。
それにあんまり奥まったところにいくと、野宿している人たちに遭遇してしまうかもしれない。
西区にはそういう人たちも多く集まっていた。
彼らのすべてが悪い人たちとは思わないけど、やっぱり対面するのはちょっと怖い。
「なっ、なぁぁぁ…ぁぁああッ」
草むらの中から凄まれる。
「う……わかったよ、行けばいいんでしょ」
えいやっと飛びこんだ矢先、腰や足にさわさわと草が触れてぞわぞわする。
もはや猫の姿は草に隠れて見えなかった。
前方に揺れる草むらだけを頼りにわたしは草むらを進んでいく。
「やだ、ぅあー、やだぁ……、っひゃ!?」
ぶつぶついいながら高架下まで来たときだった。
なにかにつまずいたのは。