ブルー・ロマン・アイロニー
それでも涙は出てこない。
涙目になったことはあれど、最後に泣いたのはいつだろうってくらい、わたしは泣いていなかった。
ずいぶん前に充電がなくなったスマホは当たり前だけど画面が真っ暗だった。
クラスの子たちはもちろん、ナナちゃんや瑠衣ちゃんとも連絡先を交換していない。
メールなんて一件も届かないし、そもそもわたしがいないことなんてつゆにも気に留めていないんだろう。
「……飯、食わねえの?」
わたしが廃人と化しても、アンドロイドはあいかわらずそこにいた。
ベッドの近くに座って、テレビを観たり、本を読んだり。
まるで不調の飼い主を気にかける犬のように、ときおりこちらを振り返っては、こうして話しかけてくる。
食べていないせいか、わたしは声を出す体力も残ってはいなくて。
枕に顔をうずめたまま微かにうなずいた。
もうほうっておいて、と。
ようやく絞り出した声は、枯れた花のようだった。
ぎゅっと体を丸める。
しょうがない、しょうがない。
何度も心の中でつぶやいた。
しょうがない、しょうがない、しょうがない。
バチが当たったんだ。
なんで?
よけいなことをしたから。
なにがよけいなことなの?
変わろうとしたこと。
それがよけいなことだった?
そうだよ。
全部、自業自得。
伯母さんの言うことはやっぱり正しかった。
昔から、いつも間違っているのは、わたしだった。