ブルー・ロマン・アイロニー


あの日起こったことはなんてことない、日常茶飯事のはずなのに。

わたしの負ったダメージはそれなりに大きかったらしい。


翌日、学校に行こうとしたら体が動かなかった。

まるで全身に錆が回ってしまったロボットみたいに、手足が動かなかったんだ。


明日こそは、明日こそは。

そう思って朝を迎えるけれど、今の今まで部屋から出られた試しはない。

玄関に向かった瞬間、制服を着ている瞬間、朝ご飯を作っている瞬間、ふと先日の出来事がフラッシュバックして、目の前がチカチカする。

貧血かと思ってしゃがみこんでもそれは治らない。

自分の中で『今日は学校に行かない』と決めるまで、それは治らなかった。


休めば休むほど状況は悪化していった。

食事を摂らなくなって、お風呂にも入らなくなった。

ずっとベッドの上、布団にくるまってただ時が過ぎるのを待った。



「学校、行かねえの?」

「……うん。行かない」


今日で27日目。ちゃんと数えてる。

これ以上休むのはまずいのも、ちゃんとわかってる。


わたしは、行けない、ではなく、行かないと言った。

自分の意思で学校に行かない選択をしているのだという、それは微かに残った自尊心からだったのかもしれない。


ここまで来て、わたしは誰に見栄を張りたいんだろう。

なんだか無性におかしくなって、情けなくって、はは、と乾いた笑いとともに鼻の奥がツンとなった。


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