ブルー・ロマン・アイロニー
「そういえばあまりさぁ」
「……えっ、う、うん!」
きた。
ふたりの話を聞きながらも密かに期待していたわたしは、思った以上に気合いの入った返事をしてしまった。
話しかけてきたナナちゃんが、ふ、と鼻で笑う。
「なんで食い気味。近いよ」
「あ、ごめん……」
視界の端で、瑠衣ちゃんがおもしろくなさそうにしているのがわかった。
ナナちゃんがわたしに話しかけたのが気にくわないらしい。
わたしは横っ面で瑠衣ちゃんの様子も伺いつつ、「なに?」とナナちゃんに問いかける。
「今日の朝、駅で死にかけたんだって?」
「え、なんでそれを」
「ほんと、あまりっておもしろいよね。不運体質っていうの?ツイてなさすぎだよ」
「……え、と」
学校に着いてから誰にも話していないのに。
ナナちゃんの口ぶりからして、それはもうみんなに周知されているらしい。
そうか、わたしは不運体質ってやつなんだ。というか、おもしろいってどういうこと?わたしなにかおもしろいことしたっけ。いやなにもしてないよ、おもしろいことなんて。
混乱とショックがわたしの脳を一時的にジャックして、パンを持つ手がおろそかになった。
すんでのところで手にぎゅっと力をこめ、なんとか口元だけは笑みをつくる。
「あ、はは……実はそうなんだよね」