姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
ーーそれから数ヶ月


最初の頃が嘘のようにゼルナが此方に歩み寄ってくれた。
毎日、共に過ごすようになると自然と縮まる距離。


「ゼルナ様」

「ウェンディ、どうかしたの?」


前は吃っていたゼルナが"ウェンディ"とハッキリと名前を呼んでくれるようになった。
目を見て、普通に話してくれるようになったのも大きな進歩だろう。
とは言っても、目が合っているかどうかは前髪でよく見えないのだが……。

以前は話している時に常に緊張しているのが伝わっていた。
けれどゼルナの頑張りに感化されるように、此方も何をしたら彼が喜ぶのか、反応を見ながら少しずつ学んでいった。

(頑張ってくれているゼルナ様の為にも……)

喜んでもらいたい、役に立ちたい……そう思えて自分から色々と取り組んでいた。


「ゼルナ様、ブルのご飯を用意出来ました」

「え!?もうそんな時間か、ありがとう……!ウェンディ」

「はい、今日は暑かったので夕食はサッパリしたものでいいですか?ゼルナ様の好きなお野菜のサラダも作りますね」

「うん……それにしてもウェンディは本当に凄いな」

「え……?」

「僕が何も言わなくても気が付いてくれる……本当に凄いね」

「!!」

「いつも僕の為にありがとう」

「ーーーッ!!」

「ウェンディ……?」

「ぁ…………」

「ウェンディ、大丈夫ッ!?」

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