姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
「その仮面は……?」

「あぁ……いつもパーティーに出る時には、これをつけていたんだ」

「……!!」

「変人扱いだったし、色んな噂が広まっていた。でも、この素顔がバレるとすぐに婚約を申し込まれるから、それが嫌で……」

「それで、仮面を……」

「…………うん。今ならこんな事をしても意味がないって分かるんだけど、その時は僕自身を見て欲しくて必死だったんだ」


ゼルナはそう言うと過去の事を語り始めた。
仮面を付ける前、この姿を見た令嬢達は「是非にでも」と婚約を申し込んでくる。
しかし別邸での生活を見せると、嫌悪感を滲ませるか有り得ないと言って去っていく。

何度も拒絶されていくうちに、本当の自分は誰にも受け入れられないのではないかと思っていた。
期待のこもった眼差しは自分に対してではなく、肩書きと外見だけだと……。

次第に外に行く際には仮面を付けるようになった。
顔が隠れると、誰も近付いては来なかった。
しかし、これが答えだと思った。


「…………ずっと父と母のような関係に憧れていたんだ」

「憧れ……?」
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