姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
「うん。父は……見て分かる通り、昔からの王族らしくなくて変わり者だった。貴族という枠に囚われたくないと様々な事に挑戦して、今では立派に国の役に立っている。僕はそんな父を尊敬している」

「……はい」

「母はどんな父も大好きだと言って受け入れていた……とても仲が良くて、僕もいつか両親のように素敵な家庭を築きたいとずっと思っていた」

「…………」

「父は昔から平民のような生活に憧れていて…………母は相当苦労したらしいけど、社交界シーズン以外はあの家に住むようになったんだ」

「そうなのですね……!」

「ウェンディのように、とても努力家だったんだ。二人は互いを思い遣っていた。今でも思い出せるよ……母が病を患う前まではマーサと一緒に料理をしていた後ろ姿を」

「……ゼルナ様」

「結婚するなら、と自分の理想を勝手に押し付けていた……どんな僕でも受け入れてくれる人に出会いたい。そんな思いで馬鹿な事ばかりしていたけど結局、僕は彼女達の所為にして、逃げてばかりいた…………自分が傷付きたくなかったんだ」


ゼルナは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべていた。


「ずっと狭い世界で生きていた。隣国で武術をしている時は嫌な事を全て忘れられるから、のめり込んだら強くなり過ぎてしまって……」


更に令嬢達から嫌厭されて拒絶されるばかりで何もかもが上手くいかなかった。

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