姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
「ーーーお母様ッ!!」

「ウェンディ……!」


淑女らしい立ち振る舞いなど忘れて母の元へ駆け寄り思いきり抱きついた。


「あぁ、会いたかったわ……!ウェンディ」

「……ッ」

「元気そうで良かった!安心したわ」

「っ、お母様……!」


手紙でずっとやり取りを続けていたが、久しぶりにこうして会えた事が嬉しくて仕方なかった。
フレデリックの件で、自分の為に駆け回ってくれた母に感謝の気持ちでいっぱいだった。

嫁いでからも此方の気持ちを見透かすように手紙で励まし続けてくれた母……それを思い返すたびに涙が零れてしまう。
周囲の事など忘れて抱き合った後、頬に流れる涙を拭うように指が頬を滑る。


「良かったわ……!」

「……お母様」

「……ッ、こんなに綺麗になって!よくして頂いているのね」

「はい……!」

「貴女の幸せそうな顔を見ていたら……嬉しいはずなのに涙が止まらないの。ダメね……今日は笑顔でいようって決めたのに」

「私も……嬉しくて、涙が止まりませんっ」


そっと背中にゼルナの手が触れる。
振り向いてから、お礼の意味を込めて彼に抱きついた。


「……ゼルナ様、本当にありがとうございます!」

「あちらの屋敷では、ウェンディが嫌な思いをしてしまうかもしれないから先ずは二人で会えたらと思っていたんだ。予定をずらしても顔を合わす可能性がゼロではないからね。連絡を取ったら、デイナント子爵夫人は直ぐに返事をくれたんだよ」
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