姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
きっと母が言っていた『ウェンディにフレデリックを返すわ!』『わたくしがウェンディの代わりにマルカン辺境伯のゼルナ様の元に嫁ぐから』と直接、言おうとしているのだろう。
自分が言えば全て願いは叶うと思っている彼女は、ずっと物語に出てくるお姫様のままだ。

そんな事は絶対に出来る訳ないのに……。

そして、思い出すのは母の言葉だ。
『ウェンディ、あの子は貴女が羨ましいのよ』
いつもいつも此方を見下していた姉が"羨ましい"と思っていたのだろうか。
今思えば性格も、歩んで来た道も真逆だった。
だからこそ、互いにそう感じたのかもしれない。

しかし今度はフレデリックの時とは何もかもが違う。
もう立場を譲るつもりも、黙って引くつもりもない。


「……今は国王陛下に挨拶をするところですので」

「あのぉ……ゼルナ様、ウェンディをお借りできますか?今すぐに話さなきゃいけない大切な話なのですっ!!」

「以前も言ったけど、気安く僕の名前を呼ばないでくれないか?許可した覚えはないよ」

「……ッ」


ゼルナに拒絶された事が悔しいのか、ギロリと此方を睨みつけてくる姉に反撃するように此方も睨み返す。
瞳は怒りからか血走って、唇をグッと噛んでいる姿を見ながら、冷静に考えていた。
"何で思い通りにいかないの?"
そんな心の声が、此方まで聞こえてくるような気がした。
フレデリックは何を言う訳でもなく、ただ見ているだけだった。
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