姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~


「いいから来て頂戴ッ!!」

「嫌です」

「何ですって……!?」


徐々にジャネットの仮面が剥がれ始める。
姉が面倒な性格だと知っていたので、いつもは聞き流していたのだが、もう彼女に配慮する必要はないだろう。


「……お母様の事よ!聞きたいでしょう?」

「…………」

「ふふっ……手紙の返事が返ってこないから気になるんじゃない?」


その言葉と笑い声を聞いて、衝撃を受けて目を見開いたまま固まっていた。
何故、笑いながら母の事を話すのか……そう考えるだけで、はらわたが煮えくりかえりそうだった。
母が今、何処にいるのか知らない姉は、この話ならば絶対に付いてくるだろうと分かっていて言っているのだろう。
反応を返した事に気を良くしたのか、先程とは一転して余裕の表情を浮かべている。


「…………。ゼルナ様」

「僕も同席しよう。此処は目立つし、皆の迷惑になってしまうからね」

「ゼ、ゼルナ様は彼方でフレデリックと話していて下さいまし!二人きりで話さなければならない大切な話なんです」

「はぁ…………何故、僕が君の言葉に従わなければならないんだ?」

「……え?」

「それに僕はウェンディを守る義務がある。愛する妻には少しも辛い思いをして欲しくないんだ」

「……っ!!」

「ゼルナ様……」

「ウェンディを傷つける事があるのなら、僕は君を許さない……たとえ姉妹だろうと関係ないよ」


ゼルナの気迫ある言葉に、ジャネットは流石に怯んでいるようだった。
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