姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
「言いたい事はそれだけですか……?」

「なっ……!?」

「もうゼルナ様の元に戻っても宜しいでしょうか?」

「はぁ?わたくしの話を聞いていなかったの!?」

「…………」

「だから"交換しよう"って言ってるのよッ!!」


徐々に声量が大きくなっていく。
それでも何も言わないフレデリックに疑問を感じていた。
今にも爆発しそうなゼルナを視線で制す。

(ここは、私が言わなきゃいけない……!)

フレデリックの時と同じで、自分が望めば手に入ると本気で思っているのだろうか。

それに此方はもうゼルナと婚姻関係にある。
交換しようなんて、どう考えても有り得ない。
出来る訳がないのだ。
いつまでも現実を見ようとしない姉に、しっかりと事実を伝えるべきだろう。


「ハッキリと申し上げます。出来ません」

「無理なはずないじゃない!お父様だって良いって言って下さるわ」

「いいえ、お父様だって言わないわ」

「ッ、そんな事ない!!!それにフレデリックだって何も言わないもの!!不満がないってことでしょう!?あとはアンタが頷くだけよ……!」

「…………」


(私が頷くだけ……?馬鹿にしないでよ)

まるで子供のおままごとのようだ。

どうして自分は絶対に受け入れられると思い込んでいるのだろうか。
そこにゼルナの意志は関係ないのだろう。
まだ姉は、ゼルナに名前を呼ばれることすら許可されていないのに……。

(可哀想なお姉様……)
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