姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
「ーーこのッ、裏切り者があぁ!!」


殴りかかろうと手を振り上げた姉の間に一瞬で入り込んだゼルナが腕を引いて体を倒した後、一瞬で身動きが出来ないように背中を押さえつける。

その見事な手捌きに歓声が上がった。
暴れて呻き声を上げる姉を見ても、もう"羨ましい"と思うことはなかった。
昔はあんなに輝いて見えた姉が、今はもう見る影もない。

これも欲に溺れて、人々を騙し、奪い取っていった結果なのだろう。


「放しなさいよッ!わたくしはやってない!!誰かがわたくしを貶めようとしているの……っ!!」

「……来い!」

「嫌よッ!!こんなの嘘よ……!!いやぁあぁッ」


直ぐに騎士に拘束された姉は最後の抵抗とばかりにもがきながら、引きずられる様にして扉の向こうへと向かう。
暴言と金切り声が次第に遠のいていった。

姉を庇い、手を差し伸べる者は誰一人居なかった。

ふと、視線は後ろにいたフレデリックへと集まる。
彼は顔を背けた後に唇を噛んで、黙り込んで動かなくなってしまった。
< 207 / 215 >

この作品をシェア

pagetop