姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
「……そう、なのですね」
「それに奥様が病死してから、旦那様は常に忙しく駆け回り王都に滞在する事も多くて……ゼルナ様は幼い頃からいつもお一人なのですよ」
マルカン辺境伯夫人……つまりゼルナの母親は病で亡くなっている事は知っていた。
それから再婚していない為、子供はゼルナ一人だけだという事も。
「屋敷で働く人は年老いたものばかりですし、それに少し立場が特殊な方達との関わりが多くて……御令嬢と関わる機会はとても少ないのです。もし不快な思いをされたら申し訳ありません」
「マーサさんが謝らなくても……」
「顔も合わせる事なく嫁いで来られたので不安でしょうから。それにお二人が幸せになる事を心から祈っているのです」
「……ありがとうございます」
「それに、あの見た目に驚かれたでしょう?」
「そ、そんな事は……」
口ではそう言いつつも、実際の姿を目にして驚いていた。
先程のゼルナの姿を思い出すが、貴族の令息というよりは平民や使用人に見えてしまう。
しかし噂のように傷も火傷の痕もなく、武術が得意そうにも見えない。
むしろ体は細くヒョロっとしていて、ひ弱そうだった。
マーサは眉を顰めた後に言葉を続けた。