姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
それに手紙に書いてある条件を飲んだのも自分。
此処にくる事を選んだのも自分だ。

誰のせいでもない……そう思わなければ暗い気持ちに支配されてしまう。

(ゼルナ様に愛されなくても、自分が思い描いていたような幸せな結婚生活が出来なくても……)


「何か困った事があれば、遠慮せずにわたしに言って下さいね!ここはずっと不便でしょうが……わたしも出来るだけお手伝い致します」

「はい」

「……ありがとうございます、ウェンディ様」

「え……?」

「今から屋敷の中を案内致しますね」

「お願いします」


マーサの優しい笑顔を見ていると母を思い出す。

(良かった……マーサさんが良い人で)

細かな部分に気を遣ってくれるマーサのお陰で緊張が少しずつ解けていく。


「坊ちゃんの手紙には、かなり無理な条件ばかり書いてあって驚かれたでしょう?」

「はい……ですが、少しでも条件に沿えるように勉強はしてきたのですが、時間もなく、色々と初めての事ばかりで上手くできるかどうか」

「ウェンディ様……」
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