姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
だから『地味』だと言われてもこのままでいいと思っていた。
けれど結局は自分とは真逆で化粧もドレスも派手で、香水の匂いも強いジャネットを選んだ。
悔しさが込み上げてきて、グッと手を握り込む。

(もう関係ない……忘れよう。あの二人の事は)

逆に、ここではお洒落をする必要はない。
ありのままの自分で居れるのだと思えば、気楽で素晴らしい生活なのではないだろうか。

(あとは自分のことは自分で出来るか…………忙しいマーサさんに迷惑を掛けたくないわ)

マーサは主に料理を担当しており、もう一人の従者は掃除を担当しているそうだ。
後は動物の世話係と、数人しか雇っていないそうだ。

逆に言えば、ゼルナもマルカン辺境伯も全て自分の事は自分でしているという事だろう。

驚くべき事は、現国王と共に王城で育ったマルカン辺境伯がこうした生活を好んでおり、ゼルナもまたこの生活が好んでいるという事だ。

まだまだ不安な事もあるが、生活に追われて頭が空っぽになれば余計な事を考えなくて済むだろう。
今の心持ち的には、とても嬉しい事だ。
恨み言を呟いて自己嫌悪に陥る必要もないだろう。

(なるべく早く、色々な事を覚えていこう……!)
< 66 / 215 >

この作品をシェア

pagetop