姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
もしこんな生活をしている事を知れば、母は自分を責めるだろう。
あの時も侍女達に「誰かウェンディについて行ってくれないか」と泣きながら頼んでいたのを知っていた。
そんな母を心配させないようにと、ある頼み事をして返事を待っていた。

(嘘はついていない……きっと、お母様だってこれを見て安心してくれる筈)

数日後、母から返信が届いた。
分厚い封筒の中には何枚かのレシピが入っていた。
手紙には「上手くいっているみたいで良かった」「頑張ってね」と、書き込まれていた。

(……ありがとう、お母様)

ゼルナの為に料理を作りたいから、シェフに頼んでレシピを教えてくれないか、と頼んだのだ。
そう書けば、ゼルナとの関係も上手くいっていると思えて安心出来るだろうと考えたからだ。

それに近々、ゼルナとマルカン辺境伯の為に料理を作ろうと思っていた。
最近、毎日台所に立っているマーサと共に練習していた。

頭にはしっかりと知識として入っている筈なのに、野菜すら上手く切れなかった。
卵も割る事が出来ずに粉々に殻が砕けてしまい、激しく落ち込んでいた。

そんな時にマーサから渡されたのは数冊のノートだった。

それはマルカン辺境伯夫人……つまりゼルナの母のものだった。
戸惑いつつもマーサに確認を取り、ノートを開くとそこには料理日記が書かれていた。
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