姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
見た目を見て嫌悪する人、生活に耐えられ無い人。
マーサを侍女と同じように使う人もいた。
また自分の人間離れした強さに恐怖を抱き「化け物」と罵る者もいた。

誰もここの生活を受け入れてはくれない。
「汚い」「動物臭い」「自分でやらせるなんて正気じゃない」「怖い」「近寄らないで」「気持ち悪い」
あるのは嫌悪感と絶対的な拒絶だけだった。

まるで自分の全てを否定されているようで悲しかった。
それから令嬢達の持つ二面性や欲に拘る姿勢が合わないと苦手意識が強くなっていった。
だったら初めから本当の姿を見せてしまえばいい……そう思った。

パーティーや夜会に出る事を控えて、始めから条件を書き出した。
手紙で婚約者を募集すると、今度は誰からも申し出は来なくなった。
分かった事はただ一つだけ……令嬢達が見ていたのは、見た目と肩書きだけだと思った。

(それが分かっただけでもいい……)

ずっと父と母のような関係に憧れていた。
二人のようになりたいと思った。
しかし、それは叶わない夢だと諦めていた時に返って来た一通の手紙。

結婚を決めたのも投げやりな気持ちだった。
もう誰が来ても同じだと諦めていたのかもしれない。

ーーウェンディ・デイナント

デイナント子爵家の次女で、何回か挨拶を交わしたくらいだろうか。
パッと見た印象ではあるが、今までの令嬢達と違って真面目そうな令嬢だった。

(……この人も、どうせすぐに去っていく)

そう思うことで予防線を張っていた。
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