姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
ずっとこのままだったら……そう思うと心苦しいが今はこんなに幸せなのに、これ以上を望んだらバチが当たってしまうだろう。

しかし居候として此処に置き続けてもらう事にも罪悪感を感じていた。
貴族として、妻としての役割を何も果たせないままなのは申し訳なく思った。

昨晩は母への感謝とレシピ通りに料理が作れた事を手紙で報告しようと思ったが、気持ちが込み上げてきて途中で筆を置いてしまった。

(お母様、元気にしているかしら……)

そんな事を考えているうちに、いつも朝食を準備する時間を過ぎていた。
慌てて立ち上がり、キッチンへと急いだ。

今日はマーサにパンケーキの作り方を教えてもらう約束をしていたのだ。

紅茶のいい香りが廊下に立ち込める。


「……マーサさん、おはようございます!」

「ウェンディ様、おはようございます。よく眠れましたか?」

「はい!遅れてごめんなさい。考え事をしていて……!」

「大丈夫ですよ!今から生地を作りますから」

「良かった!昨日少し作り方を見たんです!すぐにパンケーキの材料を…………」


ふと、テーブルに座っている人物に目を奪われた。
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