姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
「…………」

「……!」


(ゼルナ様、どうしてここに……!?)

思わず動きを止めて固まってしまっていた。
驚いていたのはいつもならば、もう朝食を食べ終えて外で動物達の世話をしているはずのゼルナの姿がそこにはあったからだ。


「今日は坊ちゃんの分も作りましょうか」

「あっ……はい」

「あの………ウェン、ディ!おっ、おはよう……」

「!!」


恥ずかしそうに逸らされた視線と、どんどんと尻すぼみになっていく声。
恐らく、昨晩マルカン辺境伯と何かあったのだろう。
夕食の食器を片付けている間、二人が何か真剣に話していた事は何となく分かっていた。

(きっと辺境伯が状況を見て、気を遣って下さったのね……)

そう思うと若干複雑ではあるが、恐らくゼルナは勇気を出して此処に来てくれたのだろう。
今まで、何故避けられていたのか……その理由は結局分からないままだが、ゼルナが一生懸命に歩み寄ろうとしてくれている事は伝わった。

(嫌われている訳じゃないのね……良かった)

どうやら想像していたような最悪な展開にはなる事はなさそうだ。
嬉しそうに微笑んでいるマーサと目を合わせると、大きく頷いた。
顔を真っ赤にして俯いているゼルナに向けて笑みを浮かべながら答えた。
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