姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
帰り道、ゼルナは今までにないくらい色々な事を話してくれた。
その話を聞きながら二人で手を繋いで帰った。
ゼルナがマーサに赤い花を一本渡すと、酷く驚いた顔をした後、すぐに後ろを向いてしまった。
その肩が小さく震えている事に気付いて、どう声を掛けていいか分からずにゼルナの顔を見上げた。
するとマーサの肩に手を伸ばして、何かを耳打ちする。
マーサは頷くと涙を拭い、満面の笑みを浮かべながら花瓶を取りに向かった。
隣には先程とは違って嬉しそうなゼルナが此方を見て微笑んでいる。
帰ってきたマルカン辺境伯もその花に気付くと、暫くその場から動かなくなってしまった。
それからゼルナに頭に付けてもらった花を見て、辺境伯は思いきり目を見開いていた。
瞳を潤ませて抱きしめようと手を伸ばす辺境伯との間に、すかさずゼルナが入る。
辺境伯はそのままゼルナを強く強く抱き締めていた。
抵抗するように、ボコボコと殴っていてもお構いなしである。
皆にとって、この花は思い出が詰まったとても大切なものなのだろう。
ゼルナとぐっと距離が縮まっているのを感じて嬉しくなった。
それにフレデリックとは全然違うこの気持ちは何だろうとずっと考えていた。