若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
もしかしたら、いじけていたのかもしれないけれど、と美夕は思う。

慶が違う世界に住んでいる人なのだと、今日、あらためて実感してしまった。

慶はおもむろに立ち上がると、美夕の前に膝をついた。美夕の背中と膝の裏に手を差し入れ、横抱きしようとする。

「ま、待って! どうしてそうなるの?」

「寝室に運ぶ。大人しくしていろ」

「今日は酔っていないから大丈夫よ、ちゃんと歩けるから――」

「暴れるな。重い」

乱暴に言いくるめ、慶は美夕を寝室へと運び、ベッドに横たえた。

否が応にも思い出されるのは、キスをした夜のこと。

あの夜は酔っていて、お互い勢いのままに抱擁し、唇を重ねてしまった。

今は軽くシャンパンこそ飲んだものの、なりふりかまわなくなるほど酔ってはいない。

だからこそ、『続きは、素面のときにする』という慶の言葉に胸がざわついてしまうのだが。

慶はあの夜のように、美夕の顔の横に肘を置き、影を落とした。

「どうした? 緊張しているのか?」

からかう慶の言葉はいつも通りだけれど、口調はわずかに硬く、目に笑みは浮かんでいない。

もしかして、慶も緊張しているの?

まさかね、と美夕は考えを振り払う。慶が自分のような小娘ごときに緊張するなど、ありえない。

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