若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
「緊張することなんて、なにもないもの」

強がってにっこり微笑むと、慶はようやくお決まりのいじわるな笑みを浮かべた。

「そうだった。なにも覚えていないからな」

「ええ。覚えていないわ」

お互い、にっこりと微笑み合うも、どうして慶は自分の上からどいてくれないのだろうと、美夕はそわそわしてくる。

「……俺も今日は疲れた。あんなにも真面目に女性の服を選んだのは、初めてだったから」

慶は大きく息をつくと、そのまま美夕の上に倒れ込んだ。美夕が「ひゃっ」と声を上げると、体をどけて真横にごろんと転がる。

ただ、慶の逞しい腕だけが、美夕のお腹の上に載っている。

重いと文句を言おうとしたけれど、そこまで心地が悪くないことに気づく。

腕に手を添えると、美夕を抱く力がわずかに強くなった気がした。

「……わからなくていい。そばにいろ」

それは、先ほど美夕が『よくわからないことばかり』といじけたことに対する答えだろうか。

ぶっきらぼうで、その言葉自体に優しさなど感じないのに、美夕の胸はふわふわとして浮き上がりそうになる。

「そばにいるわ」

こちらまでぶっきらぼうに返すと、やがて慶の寝息が頭の上から聞こえてきた。本当に疲れていたらしい。

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