若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
極めつけは慶の存在。その姿を目にした社員たちの反応はあからさまだった。

すれ違う誰もが二度見する。

中には慶の顔を知っていて、指をさしてひそひそ話をする者も。

カメラマンは社員よりも慶に向けてパシャパシャとシャッターを切っている。

慶もフォーマルになりすぎないよう、カジュアルめなライトグレーのイタリアンスーツをさりげなく纏っているのだが、彼の全身から迸る気品を抑え込むことはできなかった。

船の一階は立食パーティーの会場になっていて、広々とした大ホールに豪勢な食事とドリンクが並んでいる。

奥には舞台が設置されており、マイクスタンドが複数立っていて、のちほど役職者から挨拶があるらしい。

二階、三階にもデッキがあり、休憩スペースとなっている。

目立たないようにデッキの隅っこに移動して、かねて夫が見たいと漏らしていた桃山にいざ慶を紹介すると、彼女はかちんと凍りついて機械のようにぎくしゃくと挨拶した。

青谷ももろもろ予想外だったのか、ぽかんと口を開けている。

「ねえ北菱さん。旦那さんのご実家って、まさかあの……」

どうやら桃山は慶の顔を知っていたらしい、ひそひそ声で美夕に尋ねてきた。

< 126 / 254 >

この作品をシェア

pagetop