若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
「ええと。たぶんご想像通りかと思います」

「嘘……超絶玉の輿じゃない……どうしてうちの会社なんかに入社しちゃったの? 遊んで暮らせばよくない?」

「いろいろとありまして」

まさか離婚前提で就職していたとも説明できない。

そして、桃山と美夕がこそこそささやき合っている傍らで、青谷は慶にガンを飛ばしていた。

青谷は身長一七〇センチ程度、対する慶は一八〇を軽く超えている。

どうしても青谷は慶を見上げるかたちになるのだが、そのしゃくりあげるような眼差しは決して友好的とは言えなかった。

「あなたが美夕さんとずっと別居していた旦那さんですか」

普段は美夕のことを名前で呼ぶことなどないのに。

絡むような声が聞こえてきて、美夕も桃山もぎょっと振り返る。

「君は――」

「美夕さんの同期の青谷と申します」

「そうですか。妻が世話になっています」

慶が人当たりのいい笑みを浮かべる。

その表情からは、他者になにを言われても挑発になど乗らないという大人の余裕がにじみ出ていた。

しかし、青谷にとってはその悠然とした態度がいっそう憎らしく感じられたようだ。

「離婚するとばかり思っていたんですが。どうしてのこのこと夫面してこんな場所に?」

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