若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
歓談の時間が訪れると、美夕は慶の隣に立ち、賓客たちに挨拶をして回った。美夕は練習した通りの受け答えをしながら慶についていく。

「北菱くんにこんなかわいらしいご夫人がいたなんて、知らなかった」

そう言って声をかけてきたのは、現経団連盟の会長、木崎昭三(きざきしょうぞう)。新日健製鉄の代表取締役会長兼CEOで財界の重鎮だ。

「ご紹介が遅くなり申し訳ありません。結婚当時、まだ彼女は学生だったもので、公の場に出すのを控えておりました」

美夕が丁寧に挨拶すると、木崎会長は頬を緩ませた。

「北菱くんがかわいがる気持ちもわかるよ。初々しい。だが、きちんとしたお嬢さんだ。彼の隣で胸を張っていなさい」

温かいアドバイスを受け、美夕は「ありがとうございます」と返事をする。

すると今度は、会長の隣にいた木崎夫人が手を差し出してきた。美夕はその手をとって、にこりと会釈する。

「ボーイッシュで素敵なドレスね。若いお嬢さんはどんなお洋服も似合って羨ましいわ」

とんでもない、と美夕が答えると、木崎夫人は美夕の胸もとに視線を向けた。

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