若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
やってきたのは、パーティー会場の脇にある個室。

細長い大テーブルに椅子が五つずつ、向かい合わせで並んでいる。待合室や休憩室として使用している部屋だ。

議員は娘を連れて部屋に入ると、椅子に座りもせず話の続きを切り出した。

「北菱君、君はいずれ日本の経済を背負って立つ人間になる。私は君を買っているんだ。だからこそ忠告しているんだよ」

穏やかな表情で前置きしたあと、攻撃的に目をぎらつかせる。

「君の妻がそれでは、せっかくの肩書きに傷がつく。すぐに離婚しなさい」

美夕はきゅっと唇を引き結んだ。しかし、慶はすかさず反論する。

「他人のあなたに口を出されたくはありません」

「君の失脚は、私にとっても痛手なんだよ。私と君が手を組めば、いずれ日本の政治経済は思いのままとなる。娘との結婚は、その第一歩だ」

父親の言葉に、江怜奈は勝ち誇ったような笑みを浮かべる。美夕は動揺を悟られないように真っ直ぐ立っているだけで精いっぱいだ。

「おっしゃる意味がわかりません。縁談はお断りしたはずですが」

「では、私に歯向かうことの意味はわかるか?」

議員の言葉に圧がこもる。

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