若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
メディアでも厳しく真面目な人間だと報じられているが、その眼差しはモニター越しで見るよりもずっと迫力があり、背中が凍りつくようだ。

だが、慶は怯まない。

「歯向かえば検察に目をつけられ無実の罪を着せられる、とでも脅しますか」

言葉に引っかかりを覚え、美夕は「慶……?」と顔を上げる。

議員の口もとがわずかに緩み、歪な笑みを刻む。

「君も身の振り方をよく考えておくことだ」

それだけ告げると、議員は江怜奈を引き連れ部屋を出ていった。

美夕は圧力から解放され、ようやく呼吸が楽になり、大きく息をついて近くのチェアにもたれかかる。

「美夕。大丈夫か」

真剣な顔で慶が覗き込んでくる。美夕は慌てて「ええ」と答えた。

たくさんのことが胸に引っかかっている。慶と議員の関係、そして、父と議員の関係。だが、まずは――。

「慶。守ってくれてありがとう」

議員からどれだけ手厳しいことを言われても、美夕を庇い続けてくれたことがうれしかった。どんなに脅されても怯まずにいてくれたことも。

「当然だ。俺はお前を妻にもらって恥じたことは一度もない」

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