若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
無罪を証明するために尽力してくれたことももちろんだが、どうして娘を任せてほしいと名乗り出たのだろうか。わざわざ結婚をしてまで。

いくら世話になった恩を返すとは言え、対価が大きすぎるのではないか。

疑問の目を向けると、慶は困ったように視線をさ迷わせ、切ない目で美夕を睨んだ。

「半分は、成り行きだ。残りの半分は――執着した」

突然慶の手が美夕の顎を押し上げ、上に向かせた。

考える隙を与えない性急なキス。唇を重ね、深く貪る。

よろめいた美夕は数歩あとずさったが、チェアに体がぶつかり、ぎりぎりのところでバランスを保った。

「んっ……慶、ごまかさないで」

逃げるようにのけぞるも、腰に手を回され引き寄せられる。勢いに呑まれ、次第に心地よく、抗いがたくなってくる。

「急に甘やかそうとするわよね、慶は」

「急なんかじゃない。ずっと我慢している。ふとタガが外れるときがあるだけだ」

ずっとって……と美夕は返す言葉を失い、慶が押し付けてくる欲情の嵐に呑まれる。

流されるのは簡単だが、胸のもやもやをそのままにしておくのは気持ちが悪い。

「待って、執着って言っていたのは、なに……?」

「六年もそばにいれば、情も湧くってことだ」

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