若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
美夕との結婚については、固い約束を交わしたわけではない。双方、あくまでジョークのつもりだった。
しかし、それから九年が経ち、慶が二十八歳になる直前、再びこの話題が持ち上がった。
その頃の慶は、父親のあとを継ぐべく、世界中にある北菱家傘下の企業を飛び回り、各国の経済を担う重鎮に挨拶回りをしながらコネクションを築いていた。
いずれ北菱グループのトップに立つからには、国際的な経営知識が必須。父親は慶を鍛え上げようと、あえて日本にある経営本部ではなく、世界各国を巡らせた。
慶は大学を卒業して以降、花柳と疎遠になっていたが、帰国した際に挨拶がてら、手土産を持って自宅に押しかけた。
「お久しぶりです、先生」
「本当に久しぶりだ。貫禄が出てきたじゃないか」
「老けただけでしょう」
「なにを言っているんだい、女性が放っておかない顔してるくせに」
花柳家の客間で世間話に興じていると、襖越しに女の子が走っていくのが見えた。
ひらりと揺れるミニスカートと長い髪。玄関から「いってきまーす」と、はつらつとした声が響いてくる。
外はすでに真っ暗だ。これからか?と慶は時計を見る。時刻は十九時半。
「塾だよ。一応受験生なんだ」
「ああ、なるほど。もう大学受験か」
しかし、それから九年が経ち、慶が二十八歳になる直前、再びこの話題が持ち上がった。
その頃の慶は、父親のあとを継ぐべく、世界中にある北菱家傘下の企業を飛び回り、各国の経済を担う重鎮に挨拶回りをしながらコネクションを築いていた。
いずれ北菱グループのトップに立つからには、国際的な経営知識が必須。父親は慶を鍛え上げようと、あえて日本にある経営本部ではなく、世界各国を巡らせた。
慶は大学を卒業して以降、花柳と疎遠になっていたが、帰国した際に挨拶がてら、手土産を持って自宅に押しかけた。
「お久しぶりです、先生」
「本当に久しぶりだ。貫禄が出てきたじゃないか」
「老けただけでしょう」
「なにを言っているんだい、女性が放っておかない顔してるくせに」
花柳家の客間で世間話に興じていると、襖越しに女の子が走っていくのが見えた。
ひらりと揺れるミニスカートと長い髪。玄関から「いってきまーす」と、はつらつとした声が響いてくる。
外はすでに真っ暗だ。これからか?と慶は時計を見る。時刻は十九時半。
「塾だよ。一応受験生なんだ」
「ああ、なるほど。もう大学受験か」