若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
もはや抱くことしか慶の頭にはないのか。

ふにゃふにゃになった美夕の体を横抱きにして、寝室へ連れていく。

「……慶。明日の約束、覚えてる?」

ふと心配になり覗き込むと、慶はふっと微笑を漏らした。

「覚えているから、こんな早い時間に誘ってるんだ。心配するな」

美夕はわずかに安堵して、慶に身を委ねる。

明日はふたりで外出する予定だ。行き先は、クラシックコンサートとフレンチディナー。

慶がコネクションを使って有名指揮者率いる名門交響楽団のチケットを入手してくれた。

クラシックのコンサートは、お嬢様学校の授業の一環で連れていってもらって以来だが、連れていかれるのと自ら望んで行くのとではわけが違う。

美夕は今から浮かれている。

なにより結婚六年目にして初デートだ。ふたりきりでの外出というだけでも胸が高鳴ってくる。

しかし、ベッドの上に連れていかれた美夕は、慶にこつんと額を叩かれた。

「こら。明日のことばかり考えるな。今を見ろ」

デートにばかり思いを馳せていた美夕だったが、唇を激しく貪られ我に返らざるを得なくなった。

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