若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
「やっぱり、そうなのね……」

自分が知らない間に、慶はずっと父のために勅使河原議員と戦ってくれていたのだ。

嬉しい反面、自分にはなんの説明もなかったことが悔しくもある。

当時の美夕はまだまだ子どもだったから、仕方のないことではあるけれど、大人になった今でも慶の方から打ち明けてくれなかったのは、信頼されていない証拠だろう。

美夕が把握できた事実はふたつ。

勅使河原議員や江怜奈の脅しは、決してはったりではないということ。

そして、慶をもってしてもその謀略から逃れるのは難しいということ。現に、今も父の無実が証明されていない。

(慶を父と同じ目に遭わせるわけにはいかない)

美夕と離婚をすれば、慶は議員の脅しから解放される。

もちろん、それが根本的な解決になるとも思えないけれど、自分のせいで慶がひどい目に遭うよりはよっぽどマシだと思った。

「……慶。私ね」

あなたと離婚する。そう口にしようとして、膝の上の手をぎゅっと握ったとき。

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