若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
「言っておくが、離婚したいなどと言うなよ」

先手を取られ、美夕は言葉を失った。

「図星か。お前の考えそうなことだ。あらかた、自分が身を引けば解決するとでも思ったんだろう」

「私は、自分のせいで慶が無実の罪を着せられるのが嫌なの」

「そんなことにはならない。お前、俺を誰だと思ってる? 日本経済を背負う男とか言われてるんだぞ」

「向こうは日本の政界を背負う男とか言われてるじゃない。そんな相手に目をつけられたら――」

父のようになってしまう。

口にしようとして勢いよく立ち上がったが、結局言葉にすることはできなかった。

慶は隣にやってきて、美夕の腕を掴み、強引にソファに座らせる。落ち着かせるように美夕の肩を抱いた。

「離婚をしても、俺にとってはなんの解決にもならない。勅使河原議員は、娘を北菱家に嫁がせ、強固な協力関係を築こうとしている。だが俺は他人を陥れるような残虐な独裁者と手を組むつもりはない。跳ねのけるのみだ」

「慶のことだけじゃない」

離婚することで守られるのは、慶だけではない。

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