若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
「最初からあなたのこと、愛していなかったの。金融王の妻なんて、私には荷が重すぎた。だいたい、あなたって横暴なんだもの。ついていけない」

自身に言い聞かせるように、慶へ辛辣な言葉を吐く。

この言葉が自分の胸だけでなく慶の心も傷つけているのだと思うと、この喉を締めつけてしまいたい。

「美夕。出てこい」

慶の静かな声がドア越しに美夕の心に触れ、部屋から引きずり出そうとする。

「出ない」

「顔を見せろ。話にならない」

「見せたくない」

見せるわけにはいかない。こんな泣き顔を見せた日には、慶は離婚など応じてくれない。

「離婚でもなんでも呑んでやるから、さっさと出てこい。離婚届にサインしてほしいんだろう?」

このまま言い争いをしていても埒が明かない。慶の言葉に少しだけ落ち着きを取り戻し、美夕は指先で涙を拭った。

幾度か瞬きをして涙を蒸発させたあと、すうっと大きく深呼吸して、部屋のドアを開ける。

途端に逞しい腕がぬっと伸びてきて、美夕の体に絡みついた。

あっという間に抱きすくめられ、慶の腕の中に閉じ込められる。

「嘘つきっ、離婚してくれるって――」

「お前はすぐにいじける」

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