若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
淡々とした声で叱られ、美夕はハッとした。

初めて慶に離婚してほしいと告げたときも、今このときも、美夕の心にあったのは慶への想い。

自分の方を見てほしい、愛してほしい、そんな素直になれない歪んだ愛情だ。

いつも慶はそれを察して、なんの文句も言わずに受け止めてくる。

美夕は慶の器の大きさを思い知って、胸がきゅっと切なくなった。

「素直に言えばいい。助けてくれって」

慶の言葉を聞いて、胸のつかえがすとんと落ちた。

自分が言いたかった言葉はそれなのだと気づき、堪えていた涙がほろほろと零れ落ちていく。

「美夕。どうしてほしい」

抑揚のない冷静な問いかけに、唇が自然と言葉を紡ぐ。

言ってはならないと自覚しながらも、胸のうちにある欲望がするりと口から飛び出した。

「助けて……慶のそばにいたい」

美夕の体を支える腕に力がこもる。涙も温もりもすべて慶がすくいとり、抱きしめてくれた。

「わかった。もう泣くな」

優しくされればされるほど、涙が止まらなくなってくる。美夕は慶の胸に顔を埋めて、情けなく泣き声をあげた。

「ごめんなさい……」

慶のためを思うなら、離婚すべきだったのに。

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