若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
「……そんなことを心配してたのか」

慶の大きな手のひらが、美夕の頭にぽんと乗っかる。

「子どもが嫌いだったら、八歳の女の子にわざわざ声をかけてエスコートなんてすると思うか?」

「ちゃんと覚えていてくれたのね」

十六年前、慶と出会い、エスコートされた日のこと。生まれて初めて、誰かのお嫁さんになりたいと願ったこと。

美夕にとっては、なにより大切な思い出だ。

「お嫁さんにしてほしかったんだろ?」

おどけるような言葉に、美夕は頬が熱くなる。そんな細かい約束まで記憶されているだなんて、なんだか妙に照れくさい。

「……そこも覚えていたのね」

ふたりの体の間にある隙間が埋まる。きゅっと抱きしめ合うと、ようやく離れていた心がひとつになった気がした。

「俺と美夕の子だ。嬉しいに決まってる」

「うん」

慶の言葉を耳にした瞬間、不思議と妊娠への不安が和らいだ。

子どもを産むのは自分だけではない、慶が一緒にいてくれる。ふたりで子どもを産み育てるのだ。

そう思うことができたら、子どもの顔を見られる日が待ち遠しいと思えた。


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