若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
「いやいや、さすがに名乗らないんじゃないすか? それっぽい取引先の会社名を適当に言ってみたんじゃないかな」

翌日以降もこんなことが幾度か続いた。そのたびに協力してくれていた青谷が、青ざめた顔で言う。

「無言電話の主、毎回声も電話番号も違うんすよ」

「組織立った嫌がらせってこと? その番号、ちょっと貸して」

桃山が自身の携帯端末から、非通知設定で電話をしてみる。

流れたアナウンスは『おかけになった電話番号は、現在使われておりません』――。

「いやいやいやいや、ホラーじゃないっすか!」

「そんなバカなことあるわけないでしょ! 電話番号偽装してるんだよ。そんなことする振り込め詐欺グループがニュースになってた気がする」

かなり組織だった悪質な犯行、ということだ。そして、美夕にはひとつ心当たりがあった。

(江怜奈からの電話を無視し始めた頃から、無言電話が始まった……)

まさか電話を取れというプレッシャーだろうか。そうだった場合、電話を取らなければ延々と無言電話が続くことになる。

その日の夜。美夕は江怜奈の番号に電話をかけた。

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