若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
スリーコールですぐに出てくれた江怜奈は『やっとかけてきてくれたのね。大変だったのよ』とすべての嫌がらせは自分であると自白するかのように笑った。

「無言電話なんて、どうしてあんな回りくどい真似をしたの?」

『私の名前で電話をしても、どうせ出てくれなかったでしょ? それに、わかってもらいたかったのよ』

もったいぶった言い回しで、江怜奈は告げる。

『私には手取り足取り働いてくれる部下がたくさんいるって理解したでしょう? あなたが言うことを聞かなかったら、私、彼らになんて命令しちゃうかわからない』

「それは脅し?」

『いやあねえ、お願いよ』

それだけ告げて電話が切れる。実際には脅しで、慶と離婚しなければ、どんな嫌がらせでもしてやると言いたいのだろう。

(江怜奈は正直、なにをするかわからない。父に冤罪を被せたことを、笑って言うような人だもの)

今は無言電話にとどまっているが、そのうち実力行使に出るかもしれない。

慶に相談したかったが、その日に限って出張中。

話せないまま翌日を迎え、仕方なく美夕は、気持ちの悪さを抱えたまま出社した。

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