若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
翌日はさらに無言電話がひどかった。

総務でも最近異常に電話がかかってくると話題になっていて、噂を聞きつけた社長が美夕のもとにやってきた。

「北菱さん宛てに嫌がらせの電話が頻繁に来るって? 大丈夫?」

美夕が答える前に、桃山が「今日は特にひどくて、午前中だけで十件は来てますよ」とうんざりした声をあげる。

社長も深刻な顔で顎に手を当てた。

「しばらく北菱さんは代表電話に出ないように。個々に支給してる会社携帯は大丈夫なんだよね? 取引先にはそちらからかけるようアナウンスして」

「わかりました。ご迷惑をおかけして申し訳ありません」

「北菱さんが謝ることじゃない」

社長は穏やかに微笑んでくれたが、この嫌がらせ電話が自分のせいであると自覚している美夕は、心が晴れない。

「それにしても、北菱さんがターゲットにされているのは気になるね。なにか心あたりがある?」

とはいえ、正直に話すわけにもいかず、美夕は「いえ……」と歯切れ悪く答えた。

「嫌な予感がするな。なにもないといいんだが……」

社長は思うところがあるのか、難しい顔で唸りを上げる。

「今日は特に嫌がらせがひどいんだったか? 念のため、今晩は私が家まで送っていくよ」

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