若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
「いえ、そんなご迷惑をおかけするわけには」

社長の申し出に美夕が恐縮していると、青谷が挙手をした。

「でしたら社長、俺が家まで北菱を送っていきますよ。北菱の家って広尾だろ? 俺、中目黒だから通り道だし」

美夕がこくりと頷くと、社長もその方がいいと判断したのか「すまないね、お願いできる?」と青谷に依頼した。

「はい!」

青谷が元気に答える。美夕は申し訳なさを拭えないが、社長よりは青谷に迷惑をかけた方が幾分か気が軽い。

「ごめん。お願いするね」

「広尾からなら、歩いても家まで三、四十分で帰れるし、最近運動不足だったからちょうどいいや。ウォーキングでもしてみるよ」

そんなやり取りを交わし、その日は一時間程度残業をしたあと、青谷とともに帰宅した。

最寄り駅の広尾に到着し、駅前の大通りを歩いたあと、道を曲がり住宅街の方へ。

近くには大きな公園もあり、静かでいい場所ではあるが、夜になるとしんと静まり返り少し怖いくらいだ。

そんな閑静な高級住宅街に似つかわしくない面々が、背後を歩いていた。

「なあ、あれって、やっぱ俺たち狙ってんのかな」

「わかんない……けど、どうしよう」

三人の、カタギには見えない男たちがポケットに手を突っ込んで歩いてくる。

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