若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
「あなたが金と反社会的組織を使った圧力で揉み消した事件――あの記事を書いていたのが私です」
場が緊迫した空気に包まれ、誰もが口を閉ざした。混乱する美夕へ、慶が「覚えているか」と尋ねる。
「お前の父親に疑惑がかけられた一年ほど前。勅使河原議員の秘書が不正を働き、自殺した」
「はい、マスコミ論の授業でも習ったのでよく覚えています。あの事件の会見は、世論を味方につける見本のような謝罪会見だったと」
「あのとき、公にならなかった事実がある。勅使河原議員の不正を書き記した遺書が存在した」
美夕はハッと息を呑む。江怜奈は不安げな眼差しを父親に向け、当の議員は表情を消して沈黙した。
「その遺書を託された人物は、お前の父親とともにワールドジャーナル社に持ち込み、暴露記事を書こうとした。しかし、事実は議員の手によって隠蔽された」
「ひどいものでした。当時遺書を保管していた人物は、暴力団関係者に家を襲われ、家族を人質に取られました。私も似たようなものです。深夜に家に火を放たれ、ひどい火傷を負った」
高嶺社長はネクタイを緩め、シャツのボタンをふたつ外す。胸のあたりに痛々しい火傷の痕が見えて、美夕は手で口もとを覆った。
場が緊迫した空気に包まれ、誰もが口を閉ざした。混乱する美夕へ、慶が「覚えているか」と尋ねる。
「お前の父親に疑惑がかけられた一年ほど前。勅使河原議員の秘書が不正を働き、自殺した」
「はい、マスコミ論の授業でも習ったのでよく覚えています。あの事件の会見は、世論を味方につける見本のような謝罪会見だったと」
「あのとき、公にならなかった事実がある。勅使河原議員の不正を書き記した遺書が存在した」
美夕はハッと息を呑む。江怜奈は不安げな眼差しを父親に向け、当の議員は表情を消して沈黙した。
「その遺書を託された人物は、お前の父親とともにワールドジャーナル社に持ち込み、暴露記事を書こうとした。しかし、事実は議員の手によって隠蔽された」
「ひどいものでした。当時遺書を保管していた人物は、暴力団関係者に家を襲われ、家族を人質に取られました。私も似たようなものです。深夜に家に火を放たれ、ひどい火傷を負った」
高嶺社長はネクタイを緩め、シャツのボタンをふたつ外す。胸のあたりに痛々しい火傷の痕が見えて、美夕は手で口もとを覆った。